「地元事業者の技術×デザイン」でお土産を共創しよう!

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埼玉・寄居町にて実施された、地元事業者の技術を使った地域ならではのお土産を生み出すデザインプログラム「ミヤゲーション」。
2022年8月から11月にわたり、共創型ローカルプロジェクトセンター「rutsubo」が主催し、フィールドワークやワークショップが開催されました。グラグリッドは、その企画構想やファシリテーションの支援を実施しました。

課題

・寄居町には、町を訪問した際に購入できるお土産が少ない現状がありました。せっかく町に訪問した人が、これからも寄居とのつながりを持ち続けてもらいたい、そのためのモノを、「お土産」として作れないかが町の潜在的な課題でした。

共創と取り組み

・寄居町で地域での新たな価値づくり活動を行っている共創型ローカルプロジェクトセンター「rutsubo」が、お土産づくりのプログラム「ミヤゲーション」を立ち上げました。グラグリッドは協力として、企画構想およびファシリテーション支援を行いました。

価値化したこと

・プログラムを通じて、地元事業者や参加クリエイターだけでは生まれなかったお土産アイデアを創出。
・「地元事業者」と「参加クリエイター」の連携を促進し、ミヤゲーションコミュニティを構築。プログラムの実施自体が、寄居町の関係人口づくりのモデルとして機能することを実証できた。

課題&実現したいこと

寄居のお土産と言えばこれ!というものを創りたかった


埼玉県の北西部、都内から秩父地域に入る玄関口に位置している寄居町。
皆さんは、「寄居町」と聞いてどんな印象を持つでしょうか?みかん栽培が盛んで、シーズンになると多くの人が訪れる地域なのですが、初めて聞いた町名という方も多いかと思います。
そんな寄居町を多くの人に知ってもらい、訪れた人に買って帰ってもらえるような「お土産」をつくりたい、という思いから、rutsuboの自主プロジェクトとしてスタートし、グラグリッドはそれを支援しました。

共創と取り組み

地元事業者の技術とデザインを活用!

寄居町ならではのお土産をつくり出すために、その地にもともと「あるもの」を使うことは必須の条件でした。そこで着目したのが、地元の事業者。地元の事業者が持っている「技術」を地域資源として捉え、そこにデザインの力を組み合わせることで、魅力的なお土産をつくってみたい!そんな考え方から、この企画をrutsuboメンバーと共に立ち上げました。

▼企画を立ち上げたrutsuboメンバー

はじめに地元事業者として相談したのが、「株式会社きぬのいえ」の吉田さん。きぬのいえは、寄居町で営む染色の会社。一浴多色染めの技術に独自の工夫を加えた「オーロラ染め」は、国内外でも注目され様々なメディアでも取り上げられています。

▼今回のテーマオーナー「きぬのいえ」の吉田さん

お土産でイノベーションを起こす参加型のプログラム「ミヤゲーション」をデザイン

そんな地元事業者と地域資源を組み合わせたお土産を、「どうつくっていくか」が次の検討課題でした。お土産をつくることはもちろんですが、お土産づくりを通じて、関わった人たち自身が、寄居をもっと知って、もっと好きになる、そのようなプロジェクトにできないか。rutsuboメンバーと議論を重ね、生まれたプログラムが4ヶ月間で地域や地元事業者と関わり合いながらお土産をデザインする「ミヤゲーション」です。ミヤゲーションとは、お土産とイノベーションを組み合わせた造語。お土産づくりに関わりたい「クリエイター」に参加いただき、フィールドワークやワークショップを通してアイデアを創出し、最終のプレゼンテーションに臨む参加型のプログラムを構築しました。

▼「ミヤゲーション」プログラム

地域にもともと「あるもの」を発掘するフィールドワーク

今回のプログラムには、4名のユニークな背景を持つ町内外のクリエイターに参加いただきました。

▼参加いただいたクリエイター

第一日目は、オンラインでのオリエンテーション。寄居町の特徴や課題として捉えていることを町の商工会事務局長の杉山さんから、地元事業者「きぬのいえ」での染めの技術に関することを吉田さんから、それぞれお話をいただき、予備知識としてインプット。スウェーデンの見本市にも出品された世界にも通ずる染めの技術は魅力的で、参加者の期待も高まりました。

第二日目は、フィールドワーク。寄居町の「あるもの」を発見するべく、まずは中心市街地や町を一望できる中間平(ちゅうげんだいら)を散策しながら、地域資源の発掘。地元の人にとっては日常のことでも、初めて寄居を訪れた参加者にとっては不思議に映るものもあり、それらを見える化したワークも実施しました。この一連のフィールドワーク体験自体が各クリエイターの印象に強く残ったようで、第三日以降のアイデア創出につながりました。

▼フィールドワークで町内を巡る

▼日本水(やまとみず)でも有名な風布(ふうぷ)地区へ

▼中間平(ちゅうげんだいら)で地元に親しまれているタレカツ弁当を味わう

▼町内事業者の思いを聞く

また、フィールドワークのメイン舞台だった、きぬのいえの作業場も訪問。自らやってみないと実感もつかめないだろうと、自分好みの色と模様を考えてオーロラ染めを体験させてもらいました。染めの原理を体験をもって学ぶことができた参加者たち。寄居にあった地域素材と優れた技術に触れて、フィールドワークを終えました。

▼染めの原理を知り、体験する




アイデア創出のワークショップ

第三日目および第四日目は、フィールドワークで地元事業者が持っている「染めの技術」と、寄居にある「発掘した資源」をインプットに、アイデア創出のワークショップ。技術と資源の根っこにあるストーリーを妄想していくなかで、面白いアイデアの切り口が見えてきました。ただ、お土産として見える形に仕立て上げるには産みの苦しみがあり、一筋縄ではいかないところもありました。そんなときには、rutsuboメンバーと共に対話を重ね、広げすぎない、機能をもたせすぎない、ストーリーを絞る、など研ぎ澄ましていくことでエッジの立ったアイデアにたどり着くことができたように思います。

最終プレゼンテーションでアイデアを発表

そして、最終日。各参加者が考え抜いた「染め×寄居」のお土産アイデアのプレゼンテーション。それぞれの参加者が、ワークショップで検討したアイデアをさらにブラッシュアップさせて挑みました。テーマオーナーでもあった、きぬのいえの吉田さんからは、「どのアイデアも魅力的で、商品化に向けてここから進めていきたい」と前向きなお言葉をいただき、第1期としてのプログラムは終了しました。


価値化したこと

思いのこもった「染め×寄居」の新たなお土産アイデアが誕生!

ミヤゲーションプログラムの参加クリエイターが、それぞれの考えや思いを形にしたお土産のアイデアが生まれました。こちらで、その一部をご紹介。

・寄居染め手ぬぐい
寄居町の各名所のイメージにあった色で染めた手ぬぐいが、それぞれの名所を紹介したマップでパッケージされたアイデア。

・ヨソイキ
きぬのいえで染められたスカーフを用いたファッションとしてブランディング。そこで使われているスカーフをお土産として販売するアイデア。

・TUTUMI
寄居がイメージされる色で染めた風呂敷で、シーンや状況に応じて、日本酒やジュースを包むことができるアイデア。

共創プログラムを通した関係人口づくりのモデル構築

今回、都内から参加いただいたクリエイターは、本プログラムのために都度寄居町に足を運び、次第に町のことを深く知るプロセスを経ていきました。ミヤゲーションが1回の実施で終わらない連続性のあるプログラムで、本プログラムがバウンダリオブジェクト(ここでは、多様な背景を持つ人が地域に関わり、協働できる手段)としての機能を果たしていたことにもなったといえます。つまり、共体験を通じた参加クリエイター同士、ミヤゲーション第1期生としてのつながりができ、寄居に関わる基盤が生まれたことも価値として大きいでしょう。この関係性を活かして、これから商品化に向けた取り組みをスタートさせていきます。