パートナーシップを強固にするビジョン発信ツールのプロデュース

  • コンセプトデザイン
  • ビジョン創出
  • ブランディング

全国にネットワークをもつ和菓子素材の卸問屋、秀和産業。企業が目指すこれからのビジョンを社内外へ浸透させるため、企業理念を整理し、ビジョンのコピーとビジュアルをデザイン。

課題

創業45周年を迎えるにあたり、企業のビジョンを改めて検討している段階にあった。しかし、植田社長が描くビジョンは、革新的なあまり、社内スタッフをはじめ、パートナーに理解してもらうことが難しく、伝達手段に苦慮されていました。

共創と取り組み

植田社長へのインタビューからビジョンを明確に。象徴的な絵、アイコン、物語を用いてカードタイプのプレゼンテーショングッズを作成。卸問屋の枠にとらわれず、総合的商社としての未来を示す8つの理想的姿を可視化した。

価値化したこと

ビジョンの可視化により、社内のスタッフや取引先のみなさんに目指している在り方を発信できる体制に。
共感してもらえる潜在的仲間に訴えかけ、今後、共創的なプロジェクトの立ち上げの基盤を作り上げることができた。

課題&実現したいこと

秀和産業内でのインタビュー

縮小する市場規模

和菓子素材の取扱数としては日本最大級の規模を誇る秀和産業さんです。贈答用など根強いニーズに支えられた市場でしたが、食文化の変化もあり、和菓子を口にする機会がだんだんと減っていきました。
生産、加工の現場でも、職人さんの高齢化や後継者不足など、目の前に迫った問題は少なくありません。
植田社長は自社のこれからを考えるときに、お取引先のみなさんと「どうやったら新しい試みができるか?どうするとこの現状を越えて、和菓子素材に限らない和の文化を盛り上げていけるだろう?」と考えています。

変化する物流、求められる新しい発想

市場規模が縮小する中にあって、店舗側での商品づくりへのトライも多くなりました。和素材と洋素材のコラボレーションなどもそのひとつです。そうすると今度は、従来型の数十キロあるようなたっぷりとした素材では取り回しが難しい側面が出てきます。
秀和産業ではこういった声に対応し、小ロット化を進めてもいます。しかしこういった取り組みに見られるような「新しい発想を実現していく姿勢」を、全国の取引先に広げていくことは、まだ実現していませんでした。

共創と取り組み

変えていきたいのは、業界を取り巻くエコシステム

私達はこの思いを、ひとつの企業の理念に留まらない、問屋の枠組みを超え、物流を起点とした新しいビジネスづくりのビジョンだと捉えました。どうやったらこの考えを社内外に届けられるだろう?と考えました。

自社だけでこのビジョンを掲げたとしても、新しいビジネスづくりは進みにくい。卸問屋の立ち位置を越えて、様々にコラボレーションし、新しいビジネスの生態系を生み出していく。そのためにはパートナーである取引先のみなさんの共感が欠かせません。
そこで、企業理念を言語化し、カードという媒体で視覚化をすることで、思いと活動を共通の言葉として一気に広げていく「ビジョンカード」を提案いたしました。

visioncard

ビジョンカードとは?

目指す会社の在り方を、社内外に発信し、共感する仲間を増やすためのビジョン発信ツール

8つのビジョンや、秀和産業の想いを伝える秀和物語などを収容。12枚のはがきサイズカードとパッケージからなるカードセットです。
【カード構成】
・ビジョンインデックス(1枚)
・ビジョンを発信するにあたっての社長のメッセージ(1枚)
・8つのビジョンを示したカード(8枚)
・秀和産業の哲学が伝わる「秀和物語」(2枚)

ビジョンを示すカードには、象徴的なイラストとコピーを表現し、視覚的にその魅力を伝えます。そして、そのビジョンを実現させていくための具体策を併せて掲載。カードを手に取った方々が「ここは面白いことを考えてるな」「一緒にどんなことができるだろう?」と思えるよう、ちょっとワクワクできるように考えています。また、秀和さんのテーマでもある「和の心」を伝えていくために、「和の概念の再解釈」をして表現しています。

ビジョンカードの道のり

グラグリッド社内ブレスト

カードのコンテンツを検討

秀和産業さんの会社や倉庫を拝見したあと、どんなカードのセットにしていくと良いだろう?とアイデアブレストをしました。クレドカードや理念のカードをはじめ、カード以外からもインフォグラフィック、カードゲーム、商品のタグなども参考に、カードに載せたいコンテンツをいろんな角度から検討。海外向けの出展イベントなどでも目を引くような、フックにもなるものを考えていきます。

アイコンブレスト

またビジョンカードを手渡された人が、中身を見ないで引き出しやどこかへしまわないように。カードをデザインするというよりも、渡す人と受け取る人同士が、中身のカードを出して「これは……」と話したくなるような、コミュニケーションしたくなるきっかけをデザインしていきました。

新たに示されるビジョンは、その企業に浸透していくことで文化になります。浸透した時にはカードのアイコンが、個々のビジョンや裏側に書かれた実行案を指し示せることを目指して。「ほら、あの箪笥のカードにあった話で」と、代名詞のように会話に上る未来を想像しながら検討を続けました。

価値化したこと

希少価値のある活動に光を当て、和をつなぐ

これまで秀和産業のみなさんが地道に積み上げた経験を元に、これからどんな未来を、誰とどう拓いていきたいか?を改めて言語化したのがビジョンカードです。
このビジョンカードの1枚1枚の理念は、社内のスタッフのみなさんにも、社外の取引先のみなさんにも、どこかに必ず自分たちのことが含まれています。このカードが配られる取引先は全国に4,000件。「自分たちは一緒にこう関われそうだ」「これができるかも!」と、商売の取引先関係から更に発展した話題とともに。仲間を結ぶビジョンカードとして手渡されていくはずです。

本プロジェクトで作り上げられた、ステートメント「和を運び、和を繋ぎ、商いを盛り上げる」という言葉は、今では、秀和産業さんの大事な理念として掲げられています。

クライアントの声

秀和産業植田社長
当初は、事業計画をグラフィカルに伝えることができないか?という相談をしていました。
「こんなことをしていきたい、こういうことができるはず」と話をしていると、目の前で地図のようなものが描かれ、自分たちが取り組もうとしていることが、一気に見えるようになって来ました。
ビジョンカードの提案を受けた時、これはカードづくりではなく、僕たちがやるべきことをデザインしてくれるんだと感じられました。
このビジョンカードで社内にも方針を示し、これからの市場に希望を持って進んでいくことを外にも伝えていきたいと思います。

グラグリッドメンバーのコメント

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プロデューサー
当初、ご相談いただいた時点では、このようなツールの制作は話にも上がっていませんでした。
しかし、独創的な改革を掲げていた、植田社長のビジョンを伺ううちに、これまでとは違ったものを創りたい!提案したい!と思うようになりました。ボードゲーム、カードゲームなど、未来を語り合えるツールをひっぱり出し、やってみたいことを童心に戻って語り合いっていくうちに、何をつくるべきか見えてきました。このワクワクが伝播し、新しい活動が次々と生まれていくことを楽しみに。さらに、ここからの活動を応援していきたいです。(三澤)

ファシリテーター
自社だけではなく関わるすべての人たちやその家族のことを見据え、従来からの商流を変えていきたいという強い意思に私たちもすごくワクワクしたプロジェクトでした。
自分たちが目指す方向をイメージできれば、組織の推進力があがります。パートナー企業のみなさんにも、一緒に挑戦していきたいと思ってもらえるような仕掛けを考えていきました。この後の広がりもとても楽しみです。(沼野)

デザイナー
和の印象を大切にし、メタファーとして和のモチーフを選びました。秀和産業さんのビジョンを象徴するモチーフの中に、ビジョンの意味や秀和産業さんが扱っている素材などを潜ませ、秀和産業さんだけのビジョンカードを目指しました。またビジョンを思い返したときに、色とイラストで記憶に残し、ふとした時にすぐに思い出せるように仕上げていきました。
カードを通じてビジョンを共有共感し、新たな繋がりが生まれたら嬉しいです。(川村)